2011年02月15日

「世にも奇妙なマラソン大会」

「世にも奇妙なマラソン大会」「スットコランド日記深煎り(宮田珠己著)」をそろそろ買おうかと思ったが、結局となりにあった「世にも奇妙なマラソン大会(高野秀行著)」を購入。
なにしろオビの言葉は「ときどき意味もなくずんずん走る!ⓒ宮田珠己」


========================


「世にも奇妙なマラソン大会」
深夜のモヤモヤタイムに思わず申し込んでしまったのが、西サハラの砂漠を走るマラソン大会。砂だらけの42.195キロを、それまで10キロしか走ったことのない著者は走り切ることができるのか。いやなぜそんなアホな行動に出るのか。
高野秀行の真骨頂である「間違う力」全開の作品集。


========================


(著者・高野さんのブログより、サハラマラソンについて抜粋)


今回私が参加したサハラ・マラソンは、別に過酷さが売り物ではない。
それより「変」なのである。

なぜなら、サハラ・アラブ民主共和国、通称「西サハラ」と呼ばれる未確認国家の独立運動を支援するため、アルジェリア領にある彼らの難民キャンプ周辺の砂漠で行われたからだ。

西サハラはかつてスペインの植民地だったが、
スペインが撤退した直後、隣国のモロッコに占領されてしまった。
住民である「サハラ人」はモロッコ人とは別の民族であり、独自の国家をもとうと
モロッコの弾圧に立ち向かって武力闘争をはじめた。
そのゲリラは「ポリサリオ戦線」と呼ばれる。

1991年にモロッコとポリサリオ戦線は停戦し、国連による住民投票が行われることになったが、モロッコの数々の妨害により実施されないまま20年近くが過ぎている。

モロッコの弾圧から逃げたサハラ難民がいまだ20万人も、草木のほとんどない砂漠のど真ん中に暮らしている。
それがサハラ人難民キャンプ兼西サハラ亡命政府の拠点であり、
つまりポリサリオ戦線後援のマラソン大会なのである。 


========================



話は、勢いで参加することを決めてしまったという「やってしまった感」の中に、知らない土地で謎のマラソンに立ち向かうという「かつてないワクワク感」が同居して、次の展開が楽しみになる。

軽妙な文章でもあり、妻子が寝静まった夜中に一気に読もうと思っていたが、ムスメを寝かしつけるときに、不覚にもいっしょに寝てしまい、朝を迎えてしまった。不覚だった。
そんなわけで今日、寝転がって読んでると、ムスメが腹の上にやってきて「遊ぼう」と邪魔をする。ムスメを左手で転がしながら、右手に本を持ち、意地になって読んでいた。そのうちムスメが「ちゃんと本気で私と向きあえ」といわんばかりに本を奪い取ろうとするので、録画しておいた「いないいないばぁ」を見せおとなしくテレビに見入ってもらった。たまにはこういう試練も必要だろう。


========================


「マラソンの勝者はひとりじゃない、完走したランナーみんなが勝者なんだ」


旅人が泊まった宿で一緒になった人と夜、ゆんたくをするように、山に登る人同士が、登る途中で、ピークで、すれ違いざまに話をするように、ランナーにとって、マラソン大会とは祭りのようなもの。
タイムがどうかとか完走できるかどうかとか・・・、もあるけれど、同じ環境、同じ境遇の中で時間を共にするもの同士、同じ話題で話ができる、仲間になれるということが、楽しいのである。


いつかは世界一周・・・、まではいかなくてもいいから、まだ行ってない場所に行って、そこを歩き、
いつかはフルマラソンを走れるくらいまでトレーニングをし、(とりあえずは10kmかな)
その合間合間で山に登れるような生活。


年頭の誓いではないが(まぁ2月だけど)、
今年だけでなく、10年20年見据えても、このみっつができるくらい、今は体力を蓄えておこう。



========================

PS:この本は他にも短編は何編か入っているのだけど、その中の「名前変更物語」には久々にやばいくらい大爆笑してしまいました。電車の中で読んでなくてよかった。


タグ :高野秀行

同じカテゴリー(映画,本,CD他)の記事
「少年と自転車」
「少年と自転車」(2012-06-10 22:18)

旅行人「休刊」
旅行人「休刊」(2011-12-26 22:42)


※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。