2009年01月21日

産まれるまでのこと

1/19(月)
 夜明け前の3時頃、再び陣痛が頻繁になる。陣痛の間隔は10分になってるし、痛みもこれまでよりも相当痛いという。そんなわけでそろそろ行ってもいいだろうと病院に電話するも「初産だし5分間隔になるくらいでも大丈夫」と言われ、しばし待てという感じの対応だった。
 6時頃、陣痛は5分間隔に近づくも痛みは弱まってきた。再び病院に電話するも「もう少し待って9時からの外来でも大丈夫」と、またお預けを食らう。
 でも、これは今日来そうだと感じ、仕事を休むことに決める。
 しかしながら高ぶっていた気持ちが冷めたのか、8時~9時と間隔が長くなってしまう。
 うーん、一休みか?

 結局12時頃からまた10分間隔と頻繁になりだし、14時過ぎに間隔が6~10分になり、また病院に電話。「とりあえず診察しましょう」となった。
 15:00病院に到着。
 診察の結果、子宮口が5~6cm開いているとのことで入院決定!!

 陣痛室に通される。ここで陣痛がピークになるのを待ち、そうなったら隣にある分娩室に行って子がポーンと産まれるというシステムである。非常に簡単に言えば。
 陣痛室にはベットが3つあり、それぞれカーテンで仕切られている。我々は一番分娩室に近いベットに案内される。

産まれるまでのこと ←まだ余裕な表情
 もちろん入院することが目的ではなく、産むことが目的だからここで気を緩めてもいけないが、病院に来たらなんとなく陣痛が弱くなった感もする。でも5~6分間隔でやってきているし助産師さんも「今晩産まれるよ」というし、すっかりこの晩に産まれるつもりだった。
 19:00再び診察、一部破水しているようだ。
 21:00頃モニターをとる。しかしモニターを取りはじめるやいなや、これまでの陣痛が嘘のように遠のいてしまった。10分~30分間隔までに。どうして病院に着いたりとかモニター取り始めたりとか肝心なときにいつもこうなのだ?

 そしてカーテン隔てた隣りのベットの妊婦さんが、陣痛が激しくなったのか苦しそうな声が聞こえてくる。最初こそ苦しそうな喘ぎ声だったのが、次第にわめきだすわ、泣き叫びだすわ、付き添いの人や看護師さんのアドバイスを受けながらも半狂乱な状態になっていく。
 その阿鼻驚愕の喘ぎ声がカーテン隔てた隣で聞きながら「・・・あんなになるのか」と二人で話す。妻もお腹の子もその叫び声に引いてしまったのか、陣痛が消えた。そして妻は疲れたのかそのまま爆睡。私は寝られずにその叫び声を聞く。しばしして隣の分娩室に運ばれる。カーテン越しが壁越しとなったためやや小さくなったがそれでも叫び声がしっかり聞こえる。そんな状況で数十分経過、叫び声が産声に変わった。「おめでとうございます!」助産師さん達の喜ぶ声も聞こえる。
 もちろん話やテレビなどで知っている話だが、実際にその現場を生で聞くのは初めてであり、「子供というものはこんな風にして産まれてくるのか・・・」と改めて感じた一夜であった。

1/20(火)
 結局、二人ともそのまま朝まで寝てしまっていた。
 よって陣痛は遠のいてしまっている。
 午前中、今度は一番向こうのベットから苦しそうな声が聞こえてくる中、こちらは今日は陣痛促進剤を点滴で注入して陣痛を促進させる方法を取る。予定日から2週間を経過すると胎盤の機能も弱くなって胎児にも影響が出てくるため、だいたい予定日1週間が経過すると行われるものである。最初は少量からスタートし徐々に量を増やすというもので、促進剤の量が増えるに比例して徐々に陣痛の数値も上がってくる。
産まれるまでのこと胎児の心拍数と陣痛の状況がモニターでわかるようになっている。→
 12:00頃には陣痛も2~3分間隔になり、13:00頃には声を出すような陣痛も始まったが、しかしなかなか進まない。そんな中、朝から苦しんでいた一番向こうのベットの妊婦さんが分娩室に運ばれ、しばしして産声になった。二人目を見送ってしまったようです。

 その後は、そのままの状態で推移し、16:00頃診察する。子宮口は6~7cmよりは開いているが頭がまだ下りてきてないという。「いつ産まれてきてもいいのにね」と先生は言うも・・・、16:30今日の促進剤を使い切り終わった。促進剤、次のがあるのかと期待したが今日はないという。そして促進剤の終了とともに陣痛もまた遠のいてしまった。

 遠のいてしまったか。促進剤でもダメだったか・・・

 私も妻も落胆は隠せなかった。
 先生も看護師さんも「子宮口も7cm開いてるし、産道もやわらかくなってるし、いつ産まれてもいいのにねー」と口を揃えて言う。「こんなにお腹の中が居心地いいのかな」とも。
 もういいから早くでてきんさい。何で出てこないんだ?って感じ。

 今日はもう産まれそうに無いから、私は一旦、家に帰って入浴と睡眠を取ることに。
 帰りの車を運転中、今日はダメだったけど一緒になって落ち込んでいてもしょうがない、丸一日の陣痛で体力を消耗しているのは妻の方だし、どんな状況でも前向きな気持ちで支え、何とかいいお産になるように力を出そうと決意する。

1/21(水)
 7:00前に病院に到着。到着するやいなや二人が立て続けに分娩室に運ばれ、時間差で子を産んでいった。分娩室には分娩台が2台ある。ちなみに同じような分娩室は2部屋あり、陣痛室の3人が一斉に分娩&急患の分娩があっても対応可能というわけである。

 その後「こちらへどうぞー」と看護師さんの声。あぁまた新しい人がやってきたね。
 そのような中、妻はといえば昨日の夜から陣痛は1時間に1回くらい、ただ1回の陣痛は長くなっている気がするという。
 10:00から今日は昨日とは別の促進剤を使う。今日のは量が多いようで点滴する腕も大変そうだ。間隔は長いものの朝言ってたとおり1回の陣痛時間はたしかに長い。今日はいけるぞ。
 12:30頃、昼食を食べた後、陣痛か何の痛みかよくわからないが痛み出しトイレに行く。しばらく便秘だったのが出たらしく「これで産道が広くなった」と喜ぶ。

 その同じ時間帯、一番向こうの人も促進剤を使っているのだが、同じように痛み出し叫びだし、看護師さんが来るか来ないかの間のあっという間に分娩室行きとなった。分娩室に行ったら行ったで、先生が来るか来ないかの間のあっという間に叫び声が産声になった。これには我々も「もう出たんかい!」と突っ込み満載であった。分娩室に入って10分の出来事だった。経産婦とのことであった。やはり経産婦は違うなぁ。でも経産婦にしても早いだろ。

 そんな中、初産の我々はゆっくりゆっくりをコトを進める。
 14:30診察。先生も「なんとかしたいねー」といいながら考える。「じゃあ今まで部分的に破水しているのを完全に破水させましょう」と決断。内診の結果、既に破水していたことがわかったが、それがきっかけになったのか、一気に陣痛は激しくなり、妻もこれまで見送ってきた何人もの人がそうしてきたような陣痛の痛がり様になってきた。
 巡回してきた看護師さんも言う「いい声が出るようになりましたねぇ」と。

 その後、陣痛はどんどん強くなり、破水しているから羊水も出てくるし、私も看護師さんの指示どおり出口のところをグーで力いっぱい押さえ羊水が出てくるのを止める。押さえることで陣痛の痛みを和らげることができるらしい。これまでも陣痛の際マッサージなどしてきたがこれはもうマッサージというレベルではない。妻は喘ぎ声、叫び声、わめき声になっていく。次第にだんだんいきみたくなってくるようになるが、まだいきまずに呼吸に集中させる。ピークに達したところで内診を受ける。子宮口が完全に開いたらしく、ついに分娩室へ。

 分娩室でも難産には変わりなかった。
 陣痛が来るたびに力いっぱいいきむ。その繰り返し。繰り返すもなかなか出てこない。もちろん少しづつゴールには近づこうとしているのだが。そうこうしている間に促進剤がなくなっていく。このまま陣痛が遠のいてしまったら切ないので、促進剤を追加する。更に陣痛が来るたびに力いっぱいいきむ。私はそんな妻の手を握り声援することくらいしかできない。
 子はもうそこまで見えているらしく、最後の壁(恥骨の部分)を越えるだけとのことだが、最後の壁が難関のようだ。数時間の陣痛でだんだんと妻も体力を消耗してきており、先生達で話し合って吸引分娩をとることにした。産道の出口に器具を突っ込んで子の頭を引っ張って出そうというものだ。いつのまにか周りには先生3人、助産師さん、看護師長さんはじめ看護師さん4人集まっていた。先生が「そろそろカメラとかビデオチャンスですよ」というので私はいよいよ例のビデオカメラを回す。陣痛が来ていきむのと同じタイミングで出口から器具を入れて腹の上からも子が外に出るよう力いっぱい押し出す。挑戦すること4~5回、ついに子の頭が出てきた。「出た!」そういう間に程なく体も現れる。無事、この世に誕生した。そして元気な産声が・・・

 その時、私は放心状態だったと思う。無事産まれてきた。なによりそれに一番ほっとしていてそれ以上のことなど考えられなかった。
 妻もそれ以上に放心状態だった。長く苦しい陣痛に耐えてきたのだから。体力も極限まで消耗している。
 看護師さんの手により産まれたての子を妻の目の前に。
 目の前の子を見て妻は「やっと会えたね、ずっと会いたかったよ」と号泣する。
 その姿を見て、私も我慢してきたものが一気に流れ出し止まらなかった。後は二人、何を話したのか、もう覚えていない。
 出産の様子はこのブログにも書こうと思ってたし、その時どんな高尚な気持ちになるのだろうなんて思ってたけど、産声をあげて泣く子のようにただただ号泣する家族三人の姿があるだけでした。


産まれるまでのこと

約2時間後、カンガルーケア後、子の最初で最後の素顔公開かな



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Posted by tana at 19:57│Comments(6)妊娠記
この記事へのコメント
キャ~!
でおくれてしまったーーーっ
おめでとうございます!
やっとご対面なのですねっ☆彡すごいすごい
臨場感たっぷりの記事になんか感動ー。
可愛いですね~♪♪
Posted by MIYA at 2009年01月24日 09:39
ありがとうございます!
じらしてくれました。
生まれてから5日経過、日に日に人間らしい顔になってきてる気がします。
と、同時に腹が減ってくると乳飲ませろと泣き怪獣になったりします。昨日も泣くので母乳の準備をしている間、私が抱いてると、私の胸を探すしぐさをしてかわいい。そして程なく「ちがう」と思ったのか、また泣くという感じです。
Posted by tana at 2009年01月25日 20:59
臨場感タップリで…感動したよ(;_;)
ホントにみんな頑張ったね。偉かったね。
本当にお疲れ様でしたm(__)m
Posted by ぼぶ at 2009年01月27日 23:10
妻と娘は28日に無事退院して1ヶ月ほど実家暮らし。
娘にとっては産まれて初めての外出とドライブとチャイルドシートでした。
おむつの交換とか、哺乳瓶のミルクの作り方とか徐々に覚えているところ。今度帰ったら沐浴をする予定です。
哺乳瓶だったらごくごく飲むんだけど、母乳は飲みづらいのか、飲んでる途中なのに寝てしまいます。そんなナマケモノの姿はどっちに似てるのやら。
Posted by tana at 2009年01月29日 23:28
おめでとうございます!

本当に良く頑張りましたね・・・
奥様が一番大変だったとは思いますが
傍で、こんなに一緒に悩み頑張ったtanaさんも
お疲れ様でした。

これから子育てとか
楽しいでしょうね~

いいパパになりそうですね・・・
Posted by めろでぃー工房 at 2009年01月31日 22:45
>めろでぃー工房 さま

ありがとうございます!

産まれてから10日が経過。入院や陣痛のこともなつかしくなってきました(笑)
娘は昼夜問わず腹が減ったなどで泣くので、寝不足です、妻が。(私は週末しか実家に帰らないので、)
だいぶ母乳も出るようになって、そして、飲むようになりました。
子育て楽しいけど、大変です。でも寝顔やうにゃうにゃしてるときの姿を見てるとずっと見てても飽きないですね。
Posted by tana at 2009年02月01日 22:24
 
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