2008年06月23日

慰霊の日の沖縄へ⑥佐喜眞美術館へ

6月23日、長男は夕方の便で一足早く広島に帰る。

慰霊の日の沖縄へ⑥佐喜眞美術館へ真壁から空港へ向かう途中、糸満の丸三冷し物店でぜんざい。
我々が入った後地元の高校生らがひっきりなしにやってきて店は大盛況となった。まさか30席くらいある席が埋まってしまうとは思わなかった。我々ととなりにいた新聞記者風の男性4人はぜんざいだが、地元の高校生らはそろいもそろって白熊を頼んでいる。糸満を中心にひそかなブームなのだろう。

空港まで見送った後、私は再びゆいレールで国際通りへ戻る。
夕方の17:40過ぎくらいは、夕方といいながら日が暮れるまでは2時間以上ありまだまだ昼間と呼べる時間帯。もうひと行動できそうだ。
ちゅら玉でも土産に買うかーとわしたショップを物色していたところ、長男からメールが

「いまから佐喜眞美術館にいくと、6・23の夕日が階段の窓に差し込むのに間に合うかも」
たしかにそういえばそうなのだが、行く手段が・・・、U原さんの車ももう無いし、

(解説:佐喜眞美術館HPより)
屋上に上ると、空に登っていくような階段があります。その階段の数6段と23段。組織的な沖縄戦が終結したといわれる6月23日(慰霊の日)の太陽が沈む線に沿って美術館は建てられ、この日の夕方、階段の先にある小さな窓に太陽の光が差し込む設計になっています。毎年6月23日には、クラッシック、ジャズ、オペラのコンサート、演劇、映画作品上映などを行いながら、多くの方々とともにこの窓に差し込む美しい夕陽を眺めるイベントを行っています。


慰霊の日の沖縄へ⑥佐喜眞美術館へ屋上の様子。今日この窓から夕陽が差し込むはず。(この写真の撮影は2006年5月)

さて、今から行く手段はバスしかない。
国際通りにもバス停がある。もちろんここで路線バスに乗ることなどほとんど無かったので、バックの中にある地図をみながら宜野湾方面へ行くバスの番号を確認した。

90番のバスに乗ればいいらしい・・・なんて思ってたら、ないげに目の前に90番のバスがやってきた。やはりこれは「行け」と神様が言ってるんだろう。何も考えることなく目の前に停まったバスに乗る。
内地のバスはだいたい後ろ(真ん中)乗り前降りだが、ここ沖縄では真ん中にドアがあっても前乗りだ。真ん中にドアがあるバスも中に入ると改造されていて座席が設置されている。
長男に「宜野湾に向かうバスに乗りました」とメールする。多分長男は機内の人になってケータイも通じないことだろうが・・・

宜野湾市役所の手前、上原というバス停で降りる。ここからは佐喜眞美術館まで歩いて10分くらい。

知らない街にバスで行って降りる。
夕暮れの見知らぬ景色の中、一人歩く。
見知らぬ土地の夕暮れの景色の中、果たして暗くなるまでにちゃんと家に帰れるのかとプチ迷子になったような感覚。
なんか懐かしい感覚がした。
ひとしきり汗をかいて宿に帰る。こんな旅を昔していたなって原点を思い出した気分。

慰霊の日の沖縄へ⑥佐喜眞美術館へ佐喜眞美術館に到着。ここに来るのも3回目になった。
けっこう人がいた。
屋上へ上がるだけなのだが、こんな張り紙もあり、受付へ一言言っといたほうがいいだろうと思い、中へ入る。
講演会か何かがあるらしくそれっぽい人が受付近辺で待っている。受付で話をすると「予約されてますか?」「予約してないです」「立ち見になるけどいいですか?」なんとなく流れで講演会にも潜入できそうな雰囲気だったがよくわからないので却下して、「屋上だけ上がっていいですか?」というとあっさり「どうぞ」

屋上へ潜入。

慰霊の日の沖縄へ⑥佐喜眞美術館へ

慰霊の日の沖縄へ⑥佐喜眞美術館へ


階段上の窓より

若干曇りだったけど、なんとか雰囲気だけはあった6月23日の夕景でした。



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「オレは20年間、世界中をずっとずっと航海してきた。繰り返される日々が嫌いだったからな。でも愛する女性を見つけた日から、オレは変わった。今は愛する妻と子供達と一緒に暮らすためにこのジブダルタル海峡を1日2往復するだけの繰り返される毎日を過ごしている。でも、神に誓って言う。今が、一番幸せだ。オレの冒険は、彼女と言う宝を見つけることで終わったんだ」

私が持っている本に書かれてある一節である。
漠然と、今、この気持ちがわかるような気がする。
それは繰り返される毎日のようで、実は繰り返されていない毎日を過ごしてることに気づいたからだろう。一緒に暮らす人がいる中で。

この先、生まれてくる子供にとってもまだまだ生きにくい世の中なんだろう。
それでもこの世の中、この世界中に出て行って、そこでの現実を、世の中のいろいろなものを見て感じて考えて、育っていってほしい。そのためのヒントはいっぱい用意する所存である。

            「慰霊の日の沖縄へ」終わり


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この記事へのコメント
きれいな夕焼けですねぇ。癒されます。
日記の一節は、高橋歩?の著書でしょうか。いいですよねー。
どんなヒントが生まれるのか。
ほんといいパパになりそうです~。
Posted by sahori at 2008年07月16日 14:15
そのとおり、高橋歩のLOVE&FREEの中にある一節から引用しました。今でもたまに読み返す本。
美術館自体が「もの想う空間」になっていて、夕焼けと海と基地を見ながら、この本の一節を思い出し、自分の子供が(妻の体の中でだけど)無事に育っていることへ考えが飛躍し、いろいろともの想いにふけってました。
Posted by tana at 2008年07月16日 22:52
 
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