2006年06月23日

ガマの中で

ガマの中で

文章を読んで想像するだけじゃわからない。

ガマの中は暗い。
入った人ならばはわかるだろうし、入ったことはなくとも、想像するだけでも難くないことであろう。
そして、ライトを消した体験をした人であれば、目を開けているのか瞑っているのかさえもわからなくなる暗闇。
そんな状態が1分・・5分・・1時間・・数日・・・
いつ発狂してもおかしくはない状態である。

そして、ただ暗いというだけじゃない。
そして、ただ怖いというだけじゃない。

61年前のこの時期。
梅雨末期の大雨の中で、ガマの中はぬかるんでいる。
滑る。足元のおぼつかなさ、それだけが不安を増長させる。

これに加えて、当時は悪臭もあった。
ガマ特有の閉鎖された空気の中、梅雨時の湿気が輪をかけ、その中に排泄物、死体・・
環境だけで人間の尊厳というものはすでにない状態である。

そして、それに、同じ環境を共有する人間が数十人あるいは数百人といる状態が加わる。

人は不安が大きければ大きいほど、人のことを考える余裕はなくなる。
この状態は、恐怖心が極限状態に達したことのある人ならわかるだろう。
理性は失われ本能だけになる。
自分のことだけで精一杯になる。
たとえば軍民共同となったガマで「軍人は住民を守らなかった」とよくいわれている。
しかし軍人も一人間であり極限状態では本能が優先される。
当たり前のこと。
そこに武器があれば、武器をかざすものが優位な立場にたつ。
当たり前のこと。

本能のままの弱肉強食が繰り広げられる。

そしてガマの暗さを体験をした人であれば、必ず、ガマから出た後の光の射す世界にほっとしたことだろう。
外の世界には、当たり前のように光があり、風が吹き、そしてきれいな水もある。

しかし61年前はそうではなかった。
外に出ること、つまり光を求めることは、米軍の砲撃に遭い死を意味することだった。
そして、それをそうだと、むしろ米軍に捕まるより自決せよ教えられていた。

弱肉強食とマインドコントロールの中で、この状態から前にも後ろにも進めない。

狂気と絶望感に支配される世界が広がってしまう。

これが戦場である。

そしてこんな戦場になったらあなたは何になるのだろうか?

1.不安におびえ絶望感に支配される住民?
2.極限状態となり狂気に支配される軍人?
3.安全な場所にいて指示を下す人?

・・・3になれる人はどのくらいいるんだろうか。

今日は、慰霊の日でした。

戦場、
今、戦争という状態になくても、この状況は起こりうる。
ここまで極端でなくても、何かの弾みでこれに近い状況が起こりうる。

また、戦争を仕掛けようとするひとは「戦争を始めます」なんてことは言うわけがない。
聞こえのいい言葉を駆使する。
我々がそれに気づかない間に、気づいてても声が大きくならない間に、いつの間にか空気が変わっていたりする。


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この記事へのコメント
6月のツアーの写真印字が25日にやっと終りました。
これからコメントを入れていきます。
とある壕の写真。アルバムに入れながら,あぶら汗かき,震えてしまいました。
いつになったら整理できるやら・・・
Posted by 長男 at 2006年06月25日 22:50
 
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