「明日へのチケット」
2ヶ月前、東京で見ようとして見れなかった映画。サロンシネマへ。
明日へのチケット
製作:2005年 イギリス/イタリア
時間:110分
原題:TICKETS
監督:ケン・ローチ/アッバス・キアロスタミ/エルマン・オルミ
電車の走る音、揺れの感じ、車窓の風景など、自分が列車に同乗している気分になる。
ローマへと向かう特急列車に乗り込んだ様々な人種と階級の人々。偶然乗り合わせた乗客たちの様々な人生模様が鮮やかに紡がれていく。物語の登場人物達が自分の未来へのチケットを手に入れるという爽やかなストーリー。
エルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチという巨匠監督3人による夢のコラボレーションが実現!ただ、受賞作品をどれも観た事が無いのでどんな監督なのか知らないが。3監督の3つのエピソードは緩やかに繋がり、全体として1本の長編作品を構成していく「いわゆるオムニバス形式ではなく」というが、思い切りオムニバス形式ではないのか??
以下はネタばれもあるのでこっちに・・・
一つ目の話
仕事相手の企業の秘書に心引かれていく初老の大学教授の物語。
過去の回想を取り混ぜて、老教授の妄想が列車の進行とは別に行きつ戻りつする。
そのカットの繋ぎが滑らかだった。
が、話は退屈であり眠かった。
通路には席が取れなかったアルバニア移民の家族がいた。
そんなわけで回想が現実か妄想がわからなくなった状況で、将校がアルバニア移民の赤ん坊のミルクを蹴散らかした後、教授が妄想を断ち切って普段はするようなことのない何気ない行動に出るまでがこの話のクライマックスであり、妙なドキドキ感に、どんでもなく長い時間を感じた。
二つ目の話
亡き将軍の一周忌へ出かける中年未亡人に介添えする青年軍人の話。
中年未亡人がとにかくうるさく、フィリッポと話す女の子がとてもかわいかった。
三つ目の話
セルティックサポーターの話。これだけで1本映画を作れそうな感じの話であり、移民問題をさりげなくテーマにしている。
サポーター3人のうちの1人のチケットがなくなったところから話が進む。
そして、やはりチケットを盗んだのがやはり移民の少年であったことに、落胆してしまったとともに、むしろそのことにより、このことが自分達が今まであまり関わったことのない世界の暗部と繋がっているのだという葛藤を抱えることとなった。
世界は問題を抱えたまま日々刻々と時を重ねている。
一つの列車の乗り合わせるような普通の人々は、こういうことに対し何が出来るのか。
ほんの少しでも暖かな心を差し出すことだけで、そのときに今まで知ることのなかった新たな世界が広がることだろう。
公式サイトはこちら
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