宿に着いたのは18:00過ぎ。
唯一映るテレビ局のNHK-BSは今日も日本シリーズをやっていた。
千葉ロッテvs中日、2勝2敗で迎えた第5戦。
初回1点先制されたマリーンズだが、その裏打線が繋がり4-1と逆転。こういう光景を見て、2005年の日本シリーズ、虎を完膚なきまでにやっつけたことを思い出した。思えば近年の日本シリーズの中でいちばん興奮したシリーズだったなぁ。
夜は「ちょうちん」という居酒屋へ。いろいろ晩を食べる(飲む)ところはいっぱいあるが、なんとなく昔からありそうな居酒屋だったから、そこに決めた。
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19:00頃
居酒屋に入る。既に地元の人と思われる人(もしかしたら出稼ぎの土木作業員かも)がカウンターに3人、テーブルに2人の先客がいる。
そして、ここでも日本シリーズをやっていた。
今日も刺身を頼み、日本シリーズを見ながら飲む。
今年は第4戦、第6戦、7戦と死闘で見ごたえのある試合だったが、この試合はマリーンズのワンサイド。
カウンターのお客さんは、厨房にいる居酒屋のご主人と話しているのだがウチナーグチで何を言ってるのかわからない。
そのうち野球の話になり、だんだん話の内容がわかってきた。
「だから今日で日本一が決まるんじゃないよ。一日おいて、ナゴヤに戻ってそこでロッテが勝ったら日本一、中日が勝ったら3対3で、その次勝ったら日本一さ」とかいった内容の話をしている。
そして何回も同じ話をしている。
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野球もワンサイドになり、カウンターにいた3人のお客さんも帰っていき、残ったのは我々2人と後からやってきて隣のテーブルに座った地元のおじさん1人になった。
そんなわけで、しばらくしてご主人とおかみさんが我々のテーブルの近くにやって来ていっしょに話をする。
(※この辺から酔って記憶があいまいなので、細かい内容は不明)
昨日行った「き作」はご主人のお兄さんとのことらしい。
また、弟さんは那覇のとまりんの近くで店を開いているということで、その名も「き作」という。三兄弟そろって料理人なのだ。
おかみさんは、我々が明日那覇に帰ると聞いて「ぜひ行ってみてくださいね」と勧める。我々としては2日間魚が続いたので明日は肉を食べようかと思っていたのだが、「結構人気だからカウンターしか空いてないかもね、電話してみようか」と、その店を予約させられそうな勢いだった。
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長男がご主人に「この島はいつが一番、おすすめですか」と聞いたときの返事。
「いつが良いというのはない。今、秋だから、次は冬に来てほしい。その次は春に来てほしい。」
・・・そうか、この人はこの島に住んでいるのだ。
春が良い
夏が良い
秋が良い
冬が良い
明け方が良い
昼下がりが良い
夕暮れが良い
夜が良い
もちろん逆もある
きっと日常とはそういうものだ
闇も、光も永遠に続くものではなく
その時その時の表情があるのだ
昨日今日、島を一回りしたとしても、島の全部を見たわけではない。
せいぜい島の365分の2を見ただけなのだ。
そんな、何の変哲もない日常にふっとやってきて、そして風のように去っていく。
そう考えるとふっと何か面白くなってきた。
そしてご主人は、時間を置いてこう言った。
「でも9月の祭りの時が一番いいかなぁ」
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帰り際、「この島に来てくれてありがとう」と手を握ってくれた。
私の中でこの2日間はけっして365分の2、なんてものでは、ない。